令和6年4月1日より相続登記が義務化されます

相続人申告登記

法改正

 令和6年4月1日から相続登記が義務化されたことより、新しく相続人申告登記という制度ができました。
 相続人申告登記は、相続登記の申請期限である3年以内に相続登記をすることが難しい場合に、より簡便に申請義務を行うことができるようにするために制度です。

 相続人申告登記では、所有権登記名義人が死亡した場合に、自身が登記名義人の相続人の一人であることを申し出ることにことにより行います。
 この申出を行うことで、相続登記の申請義務を果たしたことになります。
 しかし、この申出を行なった後、遺産分割協議が成立し、不動産を相続することが確定した場合、新たに遺産分割による相続登記の申請義務が発生することには注意をしなければなりません。
 また、相続人申告登記を行なったからといって、その不動産の権利を有することを主張することまではできないことにも注意が必要です。

 申出をするには、申出書を作成し、申出人が亡くなった方の相続人であることが分かる戸籍謄本や本籍地記載の住民票等を添付して申請します。登録免許税は非課税となります。

 この登記は、却下事由があったのに登記されてしまった場合や、相続人申告登記を行なった後に、相続放棄、相続欠格、相続人廃除により相続権を失った場合に、相続人申告名義人(名義人の相続人を含む。)のみが抹消することができるとされ、抹消できる場合が限定的であるため、申出を行うかどうかについて、慎重に検討されることをおすすめします。

 私見ではありますが、法務局から相続登記の申請を促され、過料を避けるためにやむを得ない場合など、利用されるケースは限定的ではないかと考えられますので、今後の運用に注目です。

ご相談や、ご質問を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。


【以下、気になった少し専門的な注意点(質疑事項集より)】

  • 申出情報には押印(電子署名)は不要であるが、司法書士代理人が作成する場合、司法書士法施行規則28条の適用はある
  • 相続関係説明図は、相続人全員を明らかにする必要はない
  • 相続関係説明図に住所を記載することにより、住民票の写しの謄本と取扱うことが可能
  • 被相続人の最後の住所証明書が廃棄済等により、被相続人と登記名義人の同一人証明ができない場合の上申書につき、登記済証等を認めることは否定されない
  • オンライン申請の場合、連件設定ができないので、添付書類の前件添付扱いの際には、申出情報に連件扱いされたいの旨の記載が必要
  • 複数の持分取得の経緯がある場合、最後に取得した持分に付記され、それ以前の持分に付記することは要しない
  • 相続人申告事項が相互に異なる土地の合筆、相続人申告登記がない土地と、相続人申告登記がある土地の合筆のいずれも認められる