令和6年4月1日より相続登記が義務化されます

会社法人登記

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会社法人登記

 会社を始めるには設立登記をする必要があります。会社の形態としては、株式会社が選択されることがほとんどですが、最近では設立コスト、運営コストがあまりかからない合同会社の設立も増加してきています。

株式会社の設立には、発起人が全ての株式を引受ける発起設立と、発起人以外からも、一部の株式の引受けを募る募集設立があります。ほとんどの株式会社は、発起設立により設立されていますので、ここでは発起設立の概要についてご紹介します。

  1. 定款作成、公証人の認証
  2. 株式の引受、出資の履行
  3. 設立登記
  4. 各種届出

1.定款作成・公証人の認証

 株式会社を設立するには、まず会社の根本規則である定款を作成しなければなりません。 定款には、商号、本店、目的など、どのような会社を設立するか決められた事項を定め、公証人の認証を受けなければなりません。また、定款認証時に公証人に実質的支配者の申告をする必要もあります。
 そして、認証後、認証された定款の必要通数(3部とされることが多い)と、実質的支配者の申告受理証明書を公証人に作成してもらうようにします。 この証明書は、設立後の金融機関の口座開設時に利用することができますので、必ず作成してもらうようにします。

2.株式の引受・出資の履行

 定款の認証が終われば、発起人が引き受けた株式について払込を行います。

 発起設立では、広く一般に出資者を募る募集設立と異なり、金融機関発行の払込金保管証明書は必要なく、発起人代表の銀行口座への入金記録が分かるようにしておき、登記申請時にその通帳の写しを利用します。

出資

3.登記申請

 上記の手続完了後、手続が適正になされているのかを設立時役員による調査・確認後、管轄法務局へ株式会社の設立登記を行います。その際、代表取締役は、会社の印鑑届出を一緒に行います。これが、会社の実印となります。現在は、印鑑届出は必須ではありませんが、金融機関の口座開設や、融資を受ける際には、まだまだ実印が必要とされることが多いと思われますので、届出をすることをおすすめします。
 設立登記の登録免許税は1,000分の7で、これが15万円に満たない場合は15万円となります。
 登記が完了した後、印鑑カードの交付申請で、印鑑カードを受領し、商業登記事項証明書と、印鑑証明書の発行を受けることができるようになります。また、最近では電子署名に使用する電子証明書の発行申請を行うことも多くなっています。

4.各種届出

 登記完了後、定款、登記事項証明書、印鑑証明書、実質的支配者の申告受理証明書などを提出して、銀行口座開設ができるようになります。

 また、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に設立届の提出、年金事務所への社会保険の加入手続き等を行い、会社としてスタートすることになります。

設立後の届出

合同会社は平成18年の会社法施行により誕生した会社形態で、令和4年には設立される会社のうち約4件に1件は合同会社となっており、設立件数が増えてきています。

以下、合同会社の特徴を株式会社との違いに触れながらご紹介します。

  1. 所有と経営の一致
  2. 広範な定款自治
  3. 低コスト

1.所有と経営の一致

 会社法上、出資者の地位のことを社員(一般的な正社員で言う社員とは異なります。株式会社の場合の株主にあたります)。合同会社では原則として社員が業務を執行し、合同会社の経営を行います。この意味で、合同会社は、株式会社と異なり所有と経営が一致していると言えます。
 そして、合同会社は、他の持分会社の合資会社、合名会社と異なり、会社の債務に直接個人責任を負わない、間接有限責任とされており、この意味では株式会社と同じ会社形態となっています。

2.広範な定款自治

 合同会社は、定款で別段の定めをすることにより、社員の中から業務執行社員を定めたり、議決権の割合を原則の社員の頭数と異なることとする規定を定めたり、損益分配に関する規定定めたりなど、様々な定款規定による会社の自治が広く認められています。

定款

3.低コスト

 合同会社は、株式会社と比べて設立費用や、運営にかかるコストが少なく、個人事業の法人成や、家族経営など小規模低予算での起業などに向いています。

 設立時について、公証人による定款認証は必要ありません。よって、公証人手数料が不要となります。しかし、定款は法律上の絶対的な記載事項があり、会社運営をする上で疑義が生じないような規定にする必要もあり、会社運営に関する根本規則となるため慎重に検討を重ねて作成しなければなりません。

 公証人による定款認証が不要なため、対外的な信用力が問題になることがあります。ペーパーカンパニーの疑いがかけられ、金融機関の口座開設を断られるケースがあります。予定するメインバンクに事前協議を行ったり、専門家のリーガルチェックを受けるなどの対策が必要となるでしょう。

 また、設立登記の登録免許税が、資本金の額の1,000分の7の税率による計算が6万円に満たない場合は6万円(株式会社は15万円)となります。

 次に、株式会社の取締役(最長10年任期)と異なり、定款に定めない限り、社員に任期はありません。 よってランニングコストとしての役員変更登記費用は不要となります。

 以上のように、合同会社は設立費用、ランニングコストあまりかけずに法人を作りたい場合に適してい会社形態になります。上記以外の設立登記、設立後の各種届出は、株式会社のそれとほぼ同様に進めることとなります。