
本人確認が大きく変わる!?
不動産取引の本人確認が大きく変わる!?
司法書士は、法律に基づき、お客様が本当にそのご本人であるか、書類の内容が正しいかを厳格に確認する義務があります。この確認手続きは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」という法律で定められており、私たち司法書士事務所も「特定事業者」としてその対象です。
この犯収法に基づく「本人確認のルール」が、令和9年4月1日から大きく変わることが予定されています。
今回の改正の目的は、マネーロンダリング(資金洗浄)や、不動産取引や会社設立等を悪用した「なりすまし」による犯罪を未然に防ぐためです。不動産取引や会社設立の際の本人確認にどのように影響する見込みなのか、詳しく解説します。
1. 対面での本人確認はどう変わる見込みか?
例えば、お客様に事務所へお越しいただき、直接書類を確認する「対面取引」での手続きは、以下のように変更が予定されています。
A. ICチップ付き写真付き書類(マイナンバーカード、運転免許証など)の場合

書類を目視で確認するだけでなく、専用のICチップ読み取り機器で情報を読み取り、券面情報と一致するかをチェックすることが義務化される予定です。
影響: 偽造・改ざんされた書類を見破る精度が飛躍的に向上する見込みですが、司法書士事務所側では専用の読み取り機器の導入が必要となるでしょう。
B. ICチップがない書類の場合
書類の提示に加え、お客様のご自宅宛に「転送不要郵便物」を送付することが必須となる予定です。
影響: これまで認められていた書類であっても、その場で本人確認が完結せず、後日、郵便による住所確認が必要となる見込みです。手続き完了までに日数を要するため、不動産登記などの迅速な取引に影響が出る可能性があります。

2. 郵送・オンライン(非対面)での本人確認はどう変わる見込みか?
遠方のお客様など、郵送やオンラインで本人確認を行う「非対面取引」の手法も大幅に整理・厳格化される方向性です。
「書類のコピー2点郵送」は原則廃止
- 最も大きな変更点: これまで広く用いられていた、本人確認書類のコピーを2点郵送し、後日、確認のための郵便を転送不要で送付する手法が、国内居住者向けには原則として廃止される見込みです。
- 影響: 郵送だけで本人確認を完了させることが困難になり、遠隔地のお客様との取引は、より厳格なデジタル手法への移行が求められることになります。
高度なデジタル認証(eKYC)が主流に?
影響: これらの高セキュリティな方法が普及することで、遠隔地からのご依頼でも、安全性を確保しつつ迅速に手続きを完了できるようになると期待されます。
非対面での本人確認は、以下の高度な手法に集約される予定です。

eKYC(ICチップ読み取り+顔認証): スマホアプリ等でICチップを読み取り、ご自身の顔写真と書類の顔写真を照合する方式。
公的個人認証サービス(マイナンバーカードの電子証明書): マイナンバーカードの電子証明書を用いてデジタル署名を行う方式。
3. お客様への影響
マイナンバーカードの活用がよりスムーズに
ICチップ付きの本人確認書類(特にマイナンバーカード)を持っていると、手続きがより迅速に、かつ郵送確認なしで完了できるようになることが予想されます。
手続き完了までの時間の変化
ICチップ非搭載の書類を使う場合や、非対面で郵送を伴う手続きの場合は、住所確認のための郵便が必須となるため、手続きが完了するまでにこれまでより時間とコストがかかる可能性があります。
4.まとめ
今回の法改正は、私たち司法書士が扱う不動産や会社の財産を、犯罪者やなりすましから守るための重要な強化策となる予定です。皆様にはご不便をおかけすることもあるかと存じますが、安全・安心な取引環境の実現に向けた取り組みとして、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
ご相談や、ご質問を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。


