戸籍の集め方や相続登記費用について制度について
戸籍の集め方や相続登記費用について
不動産の相続登記に要する費用にはどうのようにして決まるのかについてご紹介します。
まず、相続登記を司法書士に依頼された場合、費用の内訳としては、司法書士報酬、報酬に対する消費税および実費という構成になることが一般的です。
実費とは、自分で相続登記をした場合であってもかかる費用となります。
【実費】
1.登録免許税
相続登記の際には登録免許税という税金が課税されることになります。
登録免許税は、固定資産税の評価額(固定資産税課税標準額ではありません)が課税価格となり、その金額の0.4%の税率をかけた金額となります。
次の具体例を参考に計算してみます。
(例:土地と建物の相続登記をするケース)
土地 宅地 123.00㎡ 評価額 金23,456,789円
建物 居宅 98.76㎡ 評価額 金9,876,543円
この土地と建物の相続登記は1件の登記で申請する場合、土地と建物の価格の合計が課税価格となります。
23,456,789 + 9,876,543 = 33,333,332円
課税価格は、国税通則法により、課税価格の1,000円未満は切り捨てることとされているので、課税価格は、金33,333,000円となります
そして、登録免許税を計算します。
課税価格 33,333,000 × 0.4% = 133,332円
確定税額は、国税通則法により、100円未満は切り捨てることとされているので、登録免許税は、金133,300円となります。
以上のようにして、登録免許税は計算されます。
ただし、私有道路など、固定資産税評価がなされていない土地の場合、登録免許税が不要とはならず、近傍類似土地の評価に基づいて課税価格を決定する必要がありますので、その場合はご注意ください。
2.戸籍の集め方と費用
(1)亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
相続登記には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(全部事項証明)が必要となります。
この連続した戸籍謄本というものが、普段戸籍謄本を目にしない人にとっては意味が分からないものだと思われますので、戸籍の編成方法に簡単にご紹介します。
まず、現在の一般的な戸籍編成であれば、出生すると、両親の戸籍に入ることになります。そして、婚姻すると、両親の戸籍から抜け、あらたに配偶者との戸籍が作成されます。子ができれば、婚姻によって作成された戸籍に子が入ります。そして、死亡すると、その戸籍から消除されるという流れになります。
このような場合、取得するのは、最後の戸籍謄本と、婚姻前の両親の戸籍謄本を取得すれば、出生から死亡までの連続した戸籍謄本ということになります。
しかし、その間に、他の市町村に転籍していたり、離婚していたりすると、その分取得しなければならない戸籍謄本が増えることになります。
また、実際には「改製」と言われる戸籍のコンピューター化や、市町村ごとに順次行われた戦後の戸籍の編成方法の変更により、新たに戸籍を作成しなおす作業が行われているため、その改製前後の戸籍謄本(改製前の戸籍謄本を改製原戸籍謄本といいます。)も必要となるため、取得した戸籍謄本を見て、どのような理由により、その戸籍が作成されたかを判断し、その前の戸籍謄本(全員が除かれている場合を除籍謄本といいます)も取得するというように、戸籍を死亡から出生まで遡って取得していくという作業が必要となります。
このようにして、被相続人の出生から死亡までの連続したものを取得することになります。
以上の理由により、戸籍の取得費用は、人によって異なることがお分かりいただけるかと思います。
なお、戸籍謄本の1通あたりの実費は450円(除籍謄本・改製原戸籍謄本は750円)です。
また、郵送による取得の場合、郵便局で購入できる、戸籍謄本の料金分の定額小為替証書を一緒に郵送します。定額小為替は発行手数料として、1枚あたり200円必要となります。
(2)被相続人の最後の住所を証明する本籍地記載の住民票又は戸籍の附票
登記簿(登記記録)には、所有者として、住所と氏名のみの記載しかありません。
戸籍謄本に記載されているのは本籍地と氏名、生年月日などがありますが、住所の記載がありません。
よって、登記上の所有者が、戸籍謄本に死亡と記載されている人物と同一人であることを証明するため、本籍地入りの住民票か、戸籍の附票(本籍地の役場で保管されている住所の記録がされているもの)が必要となります。
また、登記されている住所と、亡くなった際の最後の住所が異なるときは、上記の理由から、併せて登記住所から最後の住所への変更の経緯が分かるものでなければなりませんので、本籍地記載の住民票除票や、改製前戸籍の附票を取得しなければならないケースもあります。
(3)相続人の現在の戸籍抄本(謄本)等
法定相続人の証明として、相続人の現在の戸籍謄本が必要となります。
例えば、配偶者と子が相続人である場合、(1)で集めた、被相続人の戸籍謄本等により、被相続人の生涯で第1順位の法定相続人である子が何名いたか判明することになりますので、子が既に婚姻等により、別戸籍になっていた場合、子の現在の戸籍抄本(謄本)を取得することになります。
なお、配偶者の分も必要ですが、被相続人の死亡後に転籍等をしていなければ、(1)で取得した最後の戸籍謄本に記載があるので、兼用可能です。
また、相続人として、不動産を承継する場合、登記簿に住所を記載することになるので、相続人の本籍地入りの住民票か、または戸籍の附票を取得しておき、遺産分割協議をする場合は、一緒に印鑑証明書の取得もしておくと良いでしょう。
3.登記の調査費用
相続対象不動産の現在の登記内容の確認のため、登記情報提供サービスや法務局で、登記事項証明書、要約書、公図(地図)などの調査と市町村役場で、名寄帳といわれる、所有者ごとの不動産一覧とその評価額等が記載されたものを取得し相続対象不動産に漏れがないように調べることになります。
しかし、賃借権や、地上権など所有者となっていない権利も相続対象となるので、権利証の内容も調査する必要がありますので、財産調査の段階で探し出しておくように努める必要があります。
【司法書士報酬】
司法書士報酬は、対象不動産の個数、申請件数、相続人の数や、戸籍収集通数などによって異なってきます。
弊所の報酬表は別で記載しておりますので、その表に従って計算することになります。
「相続登記は費用はいくら必要ですか?」との質問をよく受けることがあります。
いくつかの質問をさせていただいた上で、経験則上の金額に少しの予備費を加えた額を回答させていただくことがありますが、上記のような理由により、実費部分、特に、戸籍の収集に要する費用は、被相続人によってかなりの差がでます。転勤族で住所異動の度に本籍地も異動している場合は、その通数分の実費が必要になり、請求もその市町村ごとに必要になります。当然、その作業を代行すれば、報酬も加算されることになります。
また、高額な評価がなされている不動産であれば、登録免許税も当然に高額となります。
報酬部分だけであれば、どこまでの代行を希望されるかを伺えば回答可能ですが、そうしてしまった場合、完了後、実費込みの請求をした際に、「聞いていた話と違う」とのトラブルになってしまうことも考えられるため、報酬額だけの回答ではなく、弊所では、報酬算定根拠や、実費の算定根拠などを示して、全体の概算予想額をお示しするようにし、その方がお客様の資金繰り計画も立てやすいであろうと考えております。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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