配偶者居住権
配偶者居住権
令和2年4月から新たに設けられた制度として配偶者居住権というものがあります。
これは、夫婦の一方が亡くなった場合(仮に夫とします)に、残された配偶者(妻とします)が、夫が所有していた建物に妻が死亡するまで、もしくは一定の期間無償で居住することができる権利です。
これによって、相続財産を他の共同相続人と平等に相続しようとした場合に、建物の利用権のみを相続することになるので、当面の生活資金となる、現預金をより多く相続できるようになる効果も期待できます。
ここで、ご注意いただきたいのが、居住期間をどうするかについてです。
相続税法基本通達9−13−2「配偶者居住権が合意により消滅した場合」の中で、建物所有者との間の合意もしくは配偶者による配偶者居住権の放棄により消滅した場合等で、建物所有者が、対価を支払わなかったときは、原則として、当該配偶者居住権の価額に相当する利益又は当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価額に相当する利益に相当する金額を贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。
つまり、死亡まで居住するとして配偶者居住権を設定していた場合で、途中の事情変更により、配偶者居住権が要らなくなったとして消滅させた場合、残存期間の配偶者居住権には財産的価値が認められるので、対価無しに消滅させた場合、原則として、贈与税の課税対象とすることになっています。
また、対価を支払った場合は、配偶者の譲渡所得税の課税対象となるとされています。
よって、配偶者居住権の設定を検討される場合は、将来の不動産の利用計画を見据えてご検討されることをおすすめします。